SOLID LIGHTING

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照明設計の本質と役割

照明設計という仕事は、“器具を選ぶ仕事”や“配灯図を描く作業”と誤解されがちです。
本質はまったく異なります。

照明デザイナーは、照明器具の販売担当でも、電気工事の実務者でもありません。
建築家が空間の骨格を設計するように、照明デザイナーは空間における「光の在り方」を設計します。
器具の選定はあくまで一工程に過ぎず、私たちはその前提として空間の意図や人の行動、素材感に至るまでを読み解きます。

そして、施主や建築設計者に対する説明責任と設計責任を負います。なお、施工に関する工程管理やコスト面の課題は、施工業者や発注者の領域です。

なお、照明デザインは建築デザインと同様に著作物であり、著作権によって保護される対象です。設計者の承諾なく器具を変更したり、設計意図に反する施工が行われた場合、著作権侵害に問われる可能性があります。



照明設計の本質と役割

照明設計には、用途や目的に応じて様々な分類があります。 それぞれ異なる設計思想が求められ、単に「明るくする」「照らす」ことだけが目的ではありません。
以下は、SOLID LIGHTINGが設計時に重視している10の代表的な照明分類です。

01. 基本照明(機能照明) 建築や空間の基本的な用途・機能を成立させる照明。空間デザインを損なわず、用途に適した“そつのない”照明が求められる。

02. 演出照明 空間の造形や質感を引き立てる照明。光で「見せる」役割を果たす。間接照明やライトアップがそれにあたります。

03. 展示照明 商品や展示物を効果的に照らす照明。素材・形状に合わせた器具の選定や照射手法を含む照明計画が必要です。

04. 意匠照明器具 空間のインテリアデザインに合わせた器具の意匠を作るもしくは選定する業務です。室内装飾の一部ですので空間デザイナー主体の業務となります。照明設計者は光の効果やバランスを検討。

05. 作業用照明(タスクライト) 特定作業に焦点を合わせる照明。理容室・厨房・事務所など用途別に計画。

06. 庭園照明 庭園内の散策・景観・室内からの眺望を配慮した外部照明。日本庭園や洋式の庭園など、デザインの思想や様式を理解できていないと的確な設計は出来ません。

07. 外構照明(ファサード等) 建物外観および建物周辺の通路・階段・エントランスなどの照明。防犯・誘導・周囲環境との調和が必要であると同時に、夜間における建物の視認性や象徴性を高め、「ランドマーク」としての存在感を演出する役割も担います。

08. 看板(サイン)照明 施設名やロゴなどのサイン照明。看板業者主体ながら、全体景観との整合性に配慮を要します。

09. 電飾照明(イルミネーション) 商業施設やイベント用の装飾的照明。実用目的ではなく演出的要素が強いもので、空間デザインとは別の領域です。

10. 美術館・博物館照明 文化財や美術品などを照らす専門性の高い照明。保存性・紫外線対策が必要であり、専門の照明士が対応します。

照明を“まとめて扱う”のではなく、役割ごとに分けて考えること。 それが、空間の完成度を高めるための第一歩です。光の意図を見極め、設計に落とし込むことこそ、照明デザイナーの使命だと考えています。